東京シングルトン的考察

「独りで立派に生きていける独身者」= シングルトン な私の日常とエンタメの雑記

漫画「酒と恋には酔って然るべき」をノンアル人生の私が読んだら

なんやかんやあってマッチングアプリを初めてはや数か月。彼氏ができそうでできない。

 

ありがたいことに、最近の私は仕事も趣味も友人との予定もあまりに充実しすぎておりスケジュールがパツパツである。そんな状況下では、まだ知り合いでもないアプリの人にこまめに連絡を取ろうとするほど暇のはない。

加えて、「〇〇歳までに結婚したい!」というような願望もなく、アプリの人に会うために何が何でも予定をこじ開けるほど、切羽詰まってもいない。

 

結果、ほとんど会わない話さない相手に対して熱を持ち切ることができず、日常の中での“アプリの人”の優先順位は下がったまま。縁は繋がるもなかなか前に進まない。

 

想いを寄せてくれた人を好きにもなり切れず、私はどうしてもギアが入らないままである。

 

申し訳なさも感じつつ、アプリを続けるスタンスは人それぞれ。

「実際毎日忙しいしこれって仕方ないのかな!」、なんて開き直りかけていた私に、ある漫画がガラピカドッシャーンと雷を落とした。

 

その漫画とは、『酒と恋には酔って然るべき』。

 

『酒と恋には酔って然るべき』は読んで字のごとくお酒をテーマにしたコミックで、男いない歴3年目に差し掛かる32歳のOL/松子が主人公の恋愛漫画。

カップ酒をレンジで温めて家飲みを楽しむような大の日本酒好きな彼女が、絶妙な距離感の会社の後輩/今泉を気になりながらも、彼氏を作るべく(酒を愛しながら)奮闘する毎日を描いた物語。

 

主人公が日本酒好きということもあり、作中では登場人物の台詞や心の声、コマの一つでお酒についての豆知識が登場する頻度も高い。(何話目とかの話数が、〇合めって書かれてるのも可愛い)

 

体質的にお酒が全く飲めず、アルコールとは無縁の完全ノンアル人生を突き進んでいる私にとって、恋愛描写にキュンとしながらお酒にもちょっと詳しくなれるのは読んでいて嬉しいポイントの一つ。

 

お酒のある場にそもそも顔を出す機会がほとんんどない日常を送っているので、漫画を楽しみながらもお酒の知識を得られるのは非常にありがたい。

(松子たちがとっても美味しそうに飲んでいても、それを疑似体験でいないのが悲しいところだけど…)

 

メインの松子ちゃんがとっても明るく前向きな性格で、基本的にはコミカルにお話が進んでいくこの作品。だけれども、時には酒と恋をかけた心にピりりじわりと沁みる、台詞が差し込まれて…

 

例えば7合めで登場するこの台詞。

松子の同僚で、よく休憩時間などに雑談する仲の既婚女性/白石が放ったキレキッレなフレーズ。

 

「松子のはアレだよね、ファッション婚活だよね」

「婚活婚活っていうわりには何ひとつ参加してないし

 マジじゃないけど年齢的に結婚したいですアピールしてるだけっていうか」

「だから本気の女に競り負けるんだよ」

「まあ 面倒なことは避けて

 恋愛気分のおいしいとこだけ

 つまみに酔うのもいいと思うよ」

 

そしてこのあたりのシーンを読み、「己のことか…?」とぎくりとしてしまった私は、自身の現在の恋愛事情を振り返ってみた。

 

実は先日(と言っても1か月前)、アプリで出会った男性(Kくん)と3回目のデートに行ってきた。

 

だいたいの男女が付き合うまでの一般的なデートの回数は3回。誰が決めたわけでも決まっているわけでもないけど、世間には、なんとなく3回目で関係性には変化がある …かもしれないという空気がある。

 

この前食事に行った友人にも「最近どうなの?」と聞かれて、次会うのが3回目の人がいる、と話したら「じゃあもうその人で決まりかな」というリアクションを返された。

 

案の定、3回目のデートではそのような空気が確かにあった。帰り際、すごく素敵なシチュエーションで二人で話す時間もあった。

 

その時、Kくんから「俺のことどう思ってる?」って聞かれた。

聞かれてしまった。

 

きっと恋活や婚活に意欲的な女の子であれば「好き♡」とか「気になってる♡」とかさらりと言えちゃうはずの質問。自分だって、好きな相手であれば今までだってそうしてきた。はずなのに、、、

 

どうって言われても、いい言葉を返せるほど気分は盛り上がってない。

当たり障りのない会話をしてまた会う約束をして結局この日はバイバイした。

 

もちろん、Kくんは3回目まで会うくらいの相手。恋愛対象としては見ているし人としても好きだ。人としては好きなんだけど。

 

会う頻度も連絡頻度も学生の頃のように高くはないし、知り合う時間が圧倒的に足りていない。相手のことも、知っているようでほとんど知らない。

そんな状況でお互い進んでいるからか、おそらくKくんも、まっすぐ好意を伝えるほどの想いは持っていなかったのだろう。

だから一度、私に聞いてみたんだと思う。私の感じも、伝わってしまったのだと思う。

 

たかが3回、されど3回、しかしたった3回しか会っていないほぼ他人。

 

どう思っているか、と答えを委ねられて無邪気に高いテンションで好意を伝えられるほどの熱と想いを私はまだ持てていなかった。

 

そこで気づいた。

 

なるほど、酒に酔えない私はなかなか恋にも酔えないらしい。

 

酔っぱらうと、大抵の人は正常な判断能力はなくなるし、時にはそれによっての大間違いだって犯すだろう。

だけど、恋愛においては、相手に(もしくは相手との関係に)酔っているくらいの方が上手くいきやすいのかもしれない。酔いもないまま恋愛をするには、大人はいろんなことを考えすぎる。

 

考えたって正解なんてないことをぐるぐる考えるくらいなら、ほろよい気分で空気や心に身を委ねているほうがよほどスムーズに相手のことを知れるとも思う。

 

とはいえ、体質的に私はもうどう頑張っても酒は飲めない。

 

嬉しいことも辛いことも素面ですべてを受け止めてきた。強すぎるほどに逞しくなってしまった私がここから、酔うように誰かに夢中になるなんて、きっとなかなか難しいんだろうなあ。

 

だけどその分、何にも酔っていない私が真正面から向き合って、大事にしたいと思う友人が、環境が今は私の周りにある。これってなかなかにいい生活だよ。

 

酔った勢いでどうにかなっちゃうような軽い男、全っっっっっく寄ってこないしね!(良くも悪くも!!!ワンチャンとかほぼない!!これはツライ!!)

 

酒にも恋にも酔えぬままではマッチングアプリは思うように進めにくい。けど、これも才能の一つだと思って松子のように前向いて生きよう!

 

 

tokyosingleton.hatenablog.jp

 

 

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